2025年12月10日
――歯を長く守るための当院の取り組み――
「根管治療(こんかんちりょう)」は、炎症を起こした歯の根の内部の治療です。
歯を抜かずに残すための最後の砦ともいえる治療ですが、実は初回治療より “再治療” が格段に難しくなることをご存じでしょうか?
この記事では、
歯を大切にしたい方、なるべく抜歯を避けたい方に、ぜひ知っていただきたい内容です。
1. 根管治療はなぜ難しい?成功率を左右する“細菌管理”
根管治療とは、歯の内部にある神経や細菌を取り除き、きれいに消毒した後に薬を詰める治療です。
しかし、どれだけ丁寧に治療しても、以下のような原因で**数ヶ月〜数年後に再発(根尖病変)**することがあります。
● 再発してしまう主な理由
つまり、根管治療は「細菌を徹底的に取り除き、絶対に入れないこと」が成功の鍵です。
2. 成功率を上げるために不可欠な「ラバーダム防湿」と「拡大視野」
■ ラバーダム防湿は根管治療の絶対条件
ラバーダムとは、治療する歯だけをゴムのシートから露出させ、唾液の侵入を100%に近いレベルで防ぐ器具です。
歯科医療の世界では約250年前から存在する、非常に基本で重要なツールです。
当院では、**保険診療でも「全症例でラバーダムを使用」**しています。
どれほど最新の器具を使っても、ラバーダムなしでは成功率を高めることはできません。
■ マイクロスコープによる精密治療
根管は非常に複雑で、肉眼では到底見えません。
当院では根管治療およびその後の修復治療、虫歯治療やメインテナンスに至るまで マイクロスコープを使用し、より質の高い歯科医療を日々追求しています。
3. 難症例で高い治癒率を示す「MTAセメント治療」
根管治療の最終工程は、内部を緊密に封鎖する「根管充填」です。
一般的にはガッタパーチャという材料を使いますが、難症例では“MTAセメント”が非常に高い効果を発揮します。
● MTAセメントとは?
高い封鎖性、生体への親和性、抗菌性などをもつ特殊な材料です(保険診療では一部を除き未認可)
● MTAで歯を救えた実例
もうずいぶん前になりますが、「抜歯しかない」と別医院で診断された大きな根尖病変の患者様に初めてMTA根管治療を行い、治癒を確認できた症例があります。この経験から、再治療歯で大きな病変があっても「治る」可能性があることを経験し、自身の中で確信をもつことができました。
その後も「もっと多くの患者さまの歯を治したい」と研鑽を続け、日々アップデートを行なっています。

まとめ|根管治療は「細菌との闘い」。確かな技術で歯を守りましょう
根管治療は、歯を長く守るために非常に重要な治療ですが、
精密さと清潔さが求められる、難易度の高い処置です。
これらが揃うことで、治療の成功率は大きく向上します。
「なるべく歯を残したい」
「抜歯と言われたが諦めたくない」
そんな方は、ぜひ一度当院までご相談ください。
あなたの歯を守るための最適な治療方法をご提案させていただきます。