2025年11月03日
「歯を削って詰めることが治療」だと思っていませんか?
実はそれ、歯の“リハビリ”にすぎないかもしれません。
この記事では、歯科医療の基本である
「病気の治療」と「修復処置(リハビリテーション)」の違いをわかりやすく解説します。
虫歯・歯周病・歯の摩耗など、三大歯科疾患の原因と正しい予防法も紹介します。

🩺 歯科治療の基本:病気の治療と修復処置は別もの
歯科治療には2つのステップがあります。
一般的に「歯を削る」「詰める」「かぶせる」などの処置は、
病気そのものを治しているのではなく、病気の結果生じた「障害」を補っているのです。
たとえば、虫歯の原因を放置したまま詰め物を繰り返すと、
歯はどんどん削られ、最終的には抜歯に至ることも。
本当の治療とは、「病気を起こさない」こと、そして「原因を改善する」ことです。
🦠 三大歯科疾患とその正しい理解
1. 虫歯(う蝕)|“穴”ではなく“バランスの崩れ”が本当の原因
虫歯とは「歯に穴があくこと」ではなく、
脱灰(歯が溶ける)と再石灰化(修復される)のバランスが崩れた状態を指します。
甘いものの摂取回数が多かったり、フッ素を使わなかったりすると、脱灰が優位になり歯に穴が開きます。
穴を埋めるのは“修復処置”であり、
本来の虫歯治療とは「脱灰と再石灰化のバランスを整えること」です。

2. 歯周病|日本人が歯を失う最大の原因
歯周病は、歯の周りの組織(歯茎・骨)の感染症です。
歯の根元に付着した細菌の塊「バイオフィルム」が炎症を引き起こし、
放置すると歯を支える骨が溶けて歯が抜けてしまいます。
治療・予防の鍵は、毎日の**プラークコントロール(歯垢除去)**です。
歯科医院での歯石除去も大切ですが、日常のセルフケアこそが最大の防御になります。

3. ウェア(歯の摩耗・損耗)|現代人に増えている“見えないリスク”
細菌感染とは関係なく、物理的・化学的な要因で歯が削れていく現象を「ウェア」と呼びます。
主な種類は次の4つです。
近年は炭酸水や酸性飲料の普及により、酸蝕症が増加傾向にあります。
原因を特定して生活習慣を見直すことが、治療の第一歩です。

🧭 歯科治療の正しい順序
歯科医療は、「病気 → 障害 → 修復」という流れで考えるのが基本です。
「削って詰める」だけの治療では、根本的な解決にはなりません。
原因を取り除き、再発を防ぐことが本来の治療の目的です。
🪥 歯を長持ちさせるために大切なこと
この順序を意識することで、無駄に歯を削らず、
自分の歯を一生使い続けることができます。
🦷 まとめ:歯科治療の本質は「削ること」ではなく「守ること」
歯科治療とは、「削る」ことではなく、「病気を治し、再発を防ぐこと」。
修復処置はあくまでリハビリテーションであり、
本来の治療は「病気の原因を取り除くこと」にあります。
日々のケアこそが、最高の治療であり最大の予防です。
これからは、「治す」から「守る」へ──。
あなたの歯を守る第一歩は、正しい知識から始まります。
